9月22日の首脳会談のニュースを見て、不安を感じた方も多かったのではないでしょうか。
米中首脳や日米首脳の会談の様子を目にして、「米国は中国と関係改善を進め、日本が中国から圧力を受けたとしても、有事の際に本当に助けてくれないのではないか」「米国一辺倒ではなく、日本も中国との関係を模索すべきではないか」と感じた方は少なくないはずです。
こうした疑問をきっかけに、改めて日米安全保障条約(日米安保)とか、ウクライナvsロシアの戦争等について調べてみました。
日米安保条約「第5条」の現実
条約の全文は外務省のウェブサイト(外務省:日米安全保障条約)で確認できます。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html
日本が攻撃を受けた際に米国が防衛義務を負うと定めているのは、第5条です。
第五条
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
(後略)
ここで注目すべきは、「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という一文です。自動的に軍事介入が行われるわけではありません。
条約や協定を結んでいながら、実際に有事が発生した際に相手国が救援を行わなかった(または限定的だった)歴史的事例はいくつも存在するようです。Gemini君が次のように教えてくれます。
1. 英仏によるポーランド救援の見送り(1939年・第二次世界大戦)
協定: 英波・仏波相互援助条約
経緯: ナチス・ドイツの侵攻に対し、英仏は宣言上宣戦布告をしたものの、地上軍を大規模に投じる支援を行いませんでした(「奇妙な戦争」)。
結果: ポーランドは短期間で独ソ両国に占領されました。
2. ブダペスト備忘録とウクリイナ(2014年・クリミア併合)
文書: ブダペスト安全保障備忘録(1994年)
経緯: ウクリイナが核兵器を放棄する見返りとして米英ロが領土の保全を約束しましたが、2014年のクリミア併合時、米英は直接の軍事介入を行わず、経済制裁や後方支援にとどまりました。
3. パリ協定と南ベトナム(1975年・ベトナム戦争終結)
合意: パリ協定(1973年)および米国の防衛コミットメント
経緯: 米軍撤退後、1975年に北ベトナムが本格侵攻を開始した際、米国議会が追加軍事支援の予算を承認せず、再介入は行われませんでした。
大国との直接対決を避ける米国のロジック
米国が支援を行わない判断を下す最大の理由は「大国同士の直接衝突の回避」です。
ロシアがウクライナに侵攻した際、米国のバイデン大統領は次のように演説しました。
"We will not fight a war against Russia in Ukraine. Direct confrontation between NATO and Russia is World War III, something we must strive to prevent."
(「ウクライナでロシアと戦争をすることはない。NATOとロシアの直接対決は第三次世界大戦を意味し、それは絶対に防がねばならない」/2022年3月11日演説)
もし中国が日本や台湾へ軍事侵攻を行った場合、米国が「第三次世界大戦の回避」を最優先すれば、自国軍を直接投入して戦闘に参加しない可能性は十分に考えられます。
また、米国には戦争権限法(War Powers Resolution)があり、議会の承認が得られなければ大統領独断での長期的な軍事介入はできません。米国内でインフレや経済問題が深刻化し、「他国の戦争に巨額の国費や米兵の命を投じるな」という世論が高まれば、議会が介入を拒否するリスクもあります。
近年でも、サウジアラビアがイエメンのフーシ派による攻撃を受けた際、軍事支援の要請に対して米国が介入を見送った事例(参考: RT News)のように、米国の国益にそぐわなければ支援は得られません。
https://www.rt.com/news/646322-trump-left-saudi-arabia-to-face-houthis-alone-mearsheimer/
私たちの課題
さらに考慮すべきは、米国の戦争に日本が巻き込まれるリスクです。米国が超大国ではない手頃な国、例えば北朝鮮等、との紛争状態になれば、相手国は近隣にある在日・在韓米軍基地を標的に攻撃を仕掛けてくるのは間違いありません。それは米国イスラエルとイランの戦争で私たちは知ってしまいました。
「米軍がいるから安心」ではなく、「米軍基地があるから攻撃対象になる」という側面も否定できません。
こうした現実を踏まえると、日米同盟だけに過度に依存し続ける姿勢は見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。沖縄をはじめとする国内の米軍基地についてはこの際縮小してもらうべきではないでしょうか。
「自分の国は自分で守る」という原則に立ち返りつつも、一度戦争が始まってしまえば莫大な悲劇が生まれます。戦争を絶対に起こさせないため、他国任せにせず、苦しくても自らの手で外交的・平和的な解決の道を模索し続けることこそが、今私たちに求められているのではないかと考えさせられました。