ホーチミンの交通事情

ベトナムに来た人はみなさんバイクの多いのに驚く。半端ではない。朝夕のラッシュ時は蟻の大群が押し寄せてくる感じで走ってくる。そんな中でも現地の人は慣れたものである。平気で道路を横断するし、バイクが逆走するのも平気だ。みなさんしたたかに生活している。

公共の交通機関は鉄道、バスがあるが十分ではない。鉄道はホーチミンからハノイに向かう列車があるが単線、一日に数本(インターネットで調べたら1日5本であった)しかなく、とても通勤に使えるようなものではない。バスはそれなりに動いており現地の人たちも利用している。しかし、とても汚い、ドアを開けたまま発車したりする。

f:id:runrunalways:20161119183454p:plain

車は増えているがいまのところ庶民の足は断然バイクである。基本的に市内の移動手段はバイクが中心だ。バイクは日本のようにスピードを出すことはあまりない。だから、バイクが大量に走行している中でも平気で横断できる。スピードを出さないので遠距離通勤には向いていない。バイクでの1時間通勤はベトナム人にとっては大変な通勤時間なのだ。

また、バイクが日常に入り込んでいるお陰で、ベトナムの人はほとんど歩くことがない。ちょっとした距離でもバイクを使う。ホーチミンの大きな通りには商店がたくさん並んでいるが、ゆっくりウィンドウショッピングするなどという光景はあり得ない。歩く習慣がないことに加えて、歩道はバイクの駐車場と化しており、ゆっくり歩くことなどできない。ゆっくり歩けるのは外国人がよく訪れる中心街だけだ。

さて、交通システムであるが、信号機はもちろん存在するが、整備されているわけではない。整備されていないというのは数が少ないこともあるが、左折専用の指示(ベトナムは右側通行なので交差点の左折に時間がかかる)がある信号を見たことがない。従い、朝夕の通勤ラッシュ時は交差点は大混乱に陥る。皆さん、信号が青になると一斉に動き出す。スピードは出していないので先に突っ込んだ方が勝ちみたいなところがある。ここでいっきに渡り切れれば良いのだが安全のため、途中で止まったりする。すると止まったバイクや車が直行するバイク及び車の流れを妨害することになり、いよいよ動けなくなったりする。

信号のない交差点はさらに大変だ。交差する道路すべてから車、バイク、歩行者が突っ込んでくる。リヤカーが入っていたりする。前へ進みたい人、横切る人がいる、横切るバイクがいる。進めない。横切る人、横切るバイクは前進する車及びバイクが邪魔になって動けない。デットロックに陥る。こんなわけで普通は20分程度でいけるところが1時間以上かかったりする。

下記に掲載した写真は信号のない交差点をタクシーのなかから撮ったものである。よくわからない写真になってしまったが、タクシーは前へ進もうとしている。そこに左右から人、バイク、自転車が突っ込んできて、タクシーを含め、みなさんにっちもさっちもいかなくなっている状態である。この一か所を通過するだけで20分程度かかった。

f:id:runrunalways:20161119183308p:plain

ホーチミンではこんなことが日常茶飯事に起きている。これは人間に例えれば、動脈硬化を起こしているようなものだ。ベトナムは1990年から昨年まで毎年5%以上の成長を維持しているが、さらに発展するにはこの交通問題がネックになりそうな気がする。

話は変わるが、パンを焼いて食べたくてショッピングサイトでトースターを買ってみた。指定の夕方には届けてくれ、料金の受け渡しも円滑にいった。サービスはまずまずである。しかし、配達はバイクであり、私の荷物以外にもう一つ持っていた。バイクの荷台で運ぶので一人が配達できるのはせいぜい2~3か所程度、これでは生産性が上がらない。車が安くなればトラックも使うようになるのだろうが、配達時間を予想するのは日本以上に難しい。今回はたまたまうまく指定の時間に来てくれたが、これは偶然と考えてよいかもしれない。

 交通問題を解決する対策の一つとして、地下鉄を建設している。しかし東京のように整備されれば変わるであろうが、地下鉄が1本や2本できても解決できるとは思えない。地下鉄の駅にいく手段がないのだ。バイクを使うしかない。ならば、地下鉄などに乗り換えずにそのままバイクで行った方が良いと考えるのが普通であろう。それに地下鉄を建設するにはとても費用かかる。ベトナム政府は海外の投資家を見つけようとしているようだがうまくいっていない。しばらく地下鉄が増える計画はない。ということでしばらくこの状態が続くであろう。

 ホーチミンは発展しておりこれから大型スーパー、百貨店、コンビニ等の流通分野の発展が期待されている。しかし、物流がネックになる可能性大である。いまのままでは生産性が上がらない。

今年末にはASEAN経済共同体が発足し、関税が域内で撤廃される。従い、これから車がますます増えていくことになる。地下鉄など整備する金があるなら信号及びソフト面の整備をする方が効果があがるのではないかと思う。信号機増設、左折専用信号機の整備、バス整備とバス優先レーンの作成のほうが有効のように思えるのだがどうだろうか?

いずれにしてもしばらくはこの状態が続く。ベトナムが一層の発展をするためには交通問題の早期解決が必須であることは間違いない。

 

それでは、また。今日より明日のほうが進歩しますように。